島津法樹さんのコラム
初出は「ハイハイQさんQさんデス」(http://www.9393.co.jp/)に
2004年8月から2005年11月まで連載された「損する骨董得する骨董」です。

第172回

儲かる骨董-実行編
7、虻も蜂もつかむタイプ-会社脱出計画はこう!
遼三彩角皿

独立するために5年間でやろうとした目標を紹介する。

起業のための行動
*シンプル、クリアーに目標を定め実行することが大切。
 エンドレスで考えてはいけない。

1、古美術専門家としての評価を得るため、本を出版する。
  ・南海出土の中国陶磁(雄山閣出版)昭和54年
  ・東南アジアの陶磁(共著・雄山閣出版)昭和57年
  ・東南アジアの焼き物(共著・創樹社美術出版)昭和58年
  以上3冊の本を書いた。

2、人間関係を広めること。
  500人以上のコレクターと顔見知りになる。
  研究会や展示会などに出席し、2200人のリストを作った。

3、仕入先の確保
  韓国、タイ、インドネシア、フィリピン、etc.で
  500店以上のオーナーと親しい関係を築いた。
  1カ国に一人情報を入れてくれるアシスタントを作った。

4、会員組織作り。ニュースリリースの配布。
  退職の3年前に大阪の古美術街老松通りにスペースを確保。
  そこを拠点に月2回の勉強会をやり、会報を流した。

5、生活の不安を除くため小さな家を買った。
  独立後の生活費が負担にならないようにした。
  いろいろなことを退職前の5年間に実行した。
  準備のない脱出は自殺行為。

40歳になり、出張中、
最上川の岸に立って会社を辞めようと思った。
まだ大いに迷っていたが、
川に石を放り込むと対岸に竜神を祭る祠があった。
なんか幸先が良いような気がした。
「もし10年後独立した会社が続いていればお参りします」
と約束し、その場を離れた。
10年後にお参りに行った。
そこでまた
「もう10年、続いていれば再度お参りします」と願を立てた。
それからもう12年になる。
今年はきっと行くつもりだ。
次は何を願おうか。僕はきっとこう言うと思う。
「10年後も骨董を楽しんでいる人生でありますように」と。

虻も蜂もつかみました。
一度しかない人生なのでやれるだけのことをやる。
というのが骨董からえた結論です。