出は「ハイハイQさんQさんデス」(http://www.9393.co.jp/)に
2004年8月から2005年11月まで連載された「損する骨董得する骨董」です。
第38回
 
 

商品学(中国陶磁編)

5.海を渡った唐三彩の話−買い場

 
 

唐三彩は焼き物好きであれば、

誰もが知っている古陶磁の

有名ブランドである。

しかし、世界に知られたこの焼き物も

今から7,80年ほど以前は

全く無名の作品だった。

その発見は清朝末期に鉄道工事が行われ

洛陽近くの墳墓が発掘されたことによる。

唐三彩は長安と洛陽の近くに

集中していたようで、

世界の中心大唐帝国の貴族や高級官僚の

明器として

用いられていたようである。

唐三彩は当時の東西交易で得た技術や

デザインによって

華やかな異国情緒を満たした作品である。

それらは初唐から盛唐頃の製作のようで

貴族や高級官僚の墳墓から出土する

作品である為、

一見多くの作品が作られていたように

思われるが

実際は作品数はかなり少ないようだ。

こんな背景を考えると唐三彩は

非常に貴重な作品と言える。

しかしどんな世界にもピンとキリがある。

唐三彩を選ぶポイントと言うか

僕はこんな点に重点を置いて

買い付けをしている。

1.形の美しいもの 
 
  馬であれば口を開けたり、

  足を上げたりというように力の漲った物


2.釉の明るい透明感のあるもの

  それに出来れば濫彩が掛かったもの

3.貼花文などのついている複雑な造形、

特に抜き型の美しいもの

4.施釉面積の多い作品

5.上品な構図のもの

選定すべき要素は沢山あるが、

要はしっかりとした良い物を選ぶことで

長い目で見れば唐三彩は

きっと楽しい夢を見せてくれる。